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OldなJazzのルーズな日々


2005-12-01 音楽

巨匠神話 lebrehit

ようやく読み終わりました。かなりヘビーな本です。以前本屋で立ち読みしたのですがいつか読もうと思ってそれきりになっていたものです。

内容は、歴代のオーケストラ指揮者の生い立ち、履歴、業績から個人的なゴシップに至るまで、事細かに記述してありまして、原題は”The Maestro Myth”巨匠の虚像、とかいう意味になります。

最終的に筆者の言いたい事は第16章に書いてありますが、クラシック界には超強力な演奏家のエージェント組織があり、そのエージェントがレコード会社やら放送局を支配しており、巨大なコングロマリット化しているという事です。この体勢は20世紀のはじめくらいから始まり、2度の戦後のドサクサと欧米の近代化(=商業化)によってムキもなく強力になって行き、それがクラシック音楽の権威を高め、かつ腐らせたという事を実際の取材をもって証明しています。

これは今年11月15日付の日経新聞の 中途半端な記事 に関連してはいるのですが、私たちが一般に馴染んでしまったクラシック音楽(正確にはヨーロッパ音楽)の「権威」について、実は戦後になって生まれたもので、それまでは確かに名人はいたけれど、ここまで強力な権威として捉えられてはいかなったという事を教えてくれます。

商業的に利益を生む為には多数のフツーの音楽家がいるよりも少数の天才*だけ*その権威をメディアを通して増幅して売り込み、独占販売する事で利益を独り占め出来るわけです。実際にそういう体勢をオーケストラと指揮者という関連で、アメリカのエージェントとヘルベルト・フォン・カラヤンが作っていった、というのがクラシック界の真実です。要は一般市民は単に騙されてしまっただけだと。

しかしその結果、指揮者と音楽総監督の様な役職の報酬ばかり数十倍に高騰し、それまで補助金無しで経営出来たヨーロッパ各都市の歴代オーケストラは維持するために国からの援助を受けなければ成り立たなくなり、才能のある若手は活動の場を失って育たなくなり、そしてステータスを独占したままマエストロたちが亡くなって行った今、オーケストラ、若手演奏家・指揮者、特にオペラの世界はどうしようもなく悲惨な事になってしまっていると、いう事です。

ここで書かれている出来事のミニチュア版が今のJazzの世界だろうと思っていますが、まあその辺はまた後ほど。

他にも関連書籍あります。筆者の検索リンクー>レブレヒト


2005-12-03 音楽

Bassie Smith Complete Vol.5 bessie

Bessie SmithコンプリートシリーズのVol5です。Vol1,2、聴いて、後編をオーダしていたのですが、Vol5が先に来てしまいました。録音は1931年11月から1933年の最後のレコーディング、小映画"St. Louis Blues"のサウンドトラック、及び未発表録音と姪のRuby Smithのインタビューが納められています。(インタビューは聞いても良く分からん...^^;;)

Bessieは決して恵まれた生涯を送ったわけでなく、最後は随分悲惨な状況でありました。

結婚相手にも恵まれておらず、Jack Geeというレコーディング契約交渉の合間に出演してたクラブのガードマンだった男と結婚しました。最初のレコードリリースの日に婚姻届を出したとブックレットにありますが、Jack自身はBessieのマネージャをやったりして稼ぎを自分のために使ってしまった様です。

Bessieの全盛期は1920年代終わりまでで、大恐慌の影響が薄れて景気が良くなって行く1932-33年代頃には残念ながらBessieの本当にBlueなBluesはかえって敬遠されてしまったとの話しです。黒人たちにとっても昔の悲惨な生活を描いた様な歌はその頃には聴きたく無い音楽になってしまった、と油井正一さんは書いています。

1933年の頃はBessieは人気が落ちて来てしまった時期にあたるのですが、音楽的には充実していまして、バックにBenny Goodman,Chu Berryなどが参加して大変すばらしいセッションが残っています。特にChu BerryのTennorが良いですー。Swingでありモダンイディオムも持っていて、同時にCollecting Improvisationの要素を保ち完成されたJazz/Bluesを演奏していた最後の時代ではないかと思われます。何でこのスタイルを後のJazzは捨てたのか?まあ、状況については次第に見えて来ているので、また後程。


2005-12-06 音楽

SIGNIFYING RAPPERS rapp

やや古い本です。日本発行は1998年ですがアメリカでの発行は1990年、実際に編纂されたのは1989年です。かなり読みづらい本です。5回くらい読み直しました。

この本に関しては解説入れません。Jazz屋(日本の)はRapp,HipHopを忌み嫌っていますが、Jazz屋こそ読まなきゃならん本です。(時代が1980年代後半である事を念頭におく事)古本でしか手に入りませんが時折amazonでも出ている様です。とりあえず検索リンクー>SIGNIFYING RAPPERS


2005-12-07 音楽

Don Redman 1931-1932redman

Don Redman の1932年からの録音の前の時期に当たるCDです。大恐慌前のCotton Pickers以降の自分のバンド、による最初の録音だと思います。編成は3管編成になっています。1931-1934年、通してゲストにCab Callowayが入ったりしています。この時期のCallowayはNew YorkのCotton Clubに出ていた頃ですが、Callowayと交流があったという事はCalloway楽団の音作りにはRedmanのアレンジが入っているのではないかと思われました。Saxセクションのサウンドが非常に良く似ているのですね。Pre Swingの時代としてはRedmanはSaxの特性を生かした大変良いアレンジを残していますね。後のSwingではブラスパートが全面に出て来て、パワー・アレンジになって行きます。この様なSaxの持ち味を生かしたRedmanの様なスタイルのアレンジがあまり残っていないのはとてもとても残念であります。


2005-12-08 音楽

Mamie Smith Complete Vol.2 mamie

Mamie Smith コンプリートのVol.2 1921 Aug - 1922 May の期間の録音が納められています。全24曲ですが、Vol.1に続き一年に満たない間に重複テイク無しの24曲ですから、すごいペースですね。本当に人気あったわけですね。

そんなわけで、Vol.1の頃から時間も経っていません。ので、音楽としてはまあ殆ど同じ。(^^;)

バックのバンド編成がいくぶん大きくなったかな、という感じもありますが、CDのノートでは最初の頃の録音"Her Jazz Band"はほぼメンバー全員名前unknowだそうです。なんといいかげん。(^^;)

CDの後半のトラック1921年9月の録音から少しづつメンバーの名前が記録される様になって、その中に若い日のColeman Hawkinsがいます。この時はAltoですが。

1920年代から言える事ですが、当時のボードビルスタイルの音楽なわけですが、一応アレンジらしき細工はあるらしいものの、殆どヘッドアレンジか、または譜面通りにやってないか、えらーいユルい演奏ばかりです。Collective Improvisationの要素が強く好き勝手に音出している感じがあり締まった処が無いのです。この点は同時代のLucille Hegaminとの音楽と随分違っていまして、注目すべき事だと思います。

この辺りの録音で変な点は、音が悪い上に、バスドラムが入っていませんので、何かリズムに芯がかけている様に聴こえる事です。この時代はまだラッパからのダイレクトカッティンング録音の為にバスドラムの様な低音が強い楽器は使えず、リズムを取るのにウッドブロックなどを使っているので仕方ないのですが、他の楽器のフレージングを聴くとこのMamie SmithのバンドについてはKing Oliverの様な「正当」なクレオール/New Orleansスタイルではないリズム感・・・むしろKansas City風な匂いのするリズムだと感じられました。

ところで、何曲か針トビした録音がありますね。(^^;;;)


2005-12-09 音楽

Henry Red Allen 1933-1935 redallen

Hilton JeffersonつながりでのHenry Red Allenです。1933年の録音は以前も紹介しましたが、この間でもメンバーの入れ替わりがあったのか、こちらの録音にはJeffersonは入っていませんでした。Altoの方がEdward Ingeで、ちょと冴えません。。。このaltoはDonRedmanのバンドにも参加しているのですが。

1934年からColeman Howkinsが抜けてバンド名が"Henry Allen Ana His Orchestra"になってからまたJeffersonが入って来ています。でもColeman がいないので今度はTenorが冴えません。1935年の録音にはChuBerryが入ってTenorがよくなったらその代わりJeffesonが抜けてClaが入ってAltoがいなくなってしまいました。(ホント、バンド運営は難しいですね・・・ ^^;)

編成は相変わらず2-Brass,2-Reedの古い編成です。1935年というともうフル編成のBigBandが登場している時代なのですが、この時分までこの編成を続けていたのもやや時代遅れであったかもしれません。Jeffersonの入ったセッションはゴリゴリしてなくて洒脱という感じでそれはそれで良い雰囲気なのですが。

この録音の同時期に、Red Allen自身は Don Redmanのバンドへも参加しているので、どうもこの1935年前後の時代は新旧のスタイルがいろいろ入り交じって動いていた頃なのかもしれないです。。。お勧めは7曲め、Don't Let Your Love Go Wrong です。リズムがラテンなんですよ。(^^)


2005-12-11 音楽

Bessie Smith Complete Vol.3 bessie

Bessei Smith コロンビアコンプリートシリーズVol.3です。期間は1925年11月から1928年2月までの録音が納められています。Vol1,2 と来てややペースダウンした感がありますが、途中ボードビルショーの巡演があったり、プライベートな理由での病気療養などがあった様です。1925年の録音が3曲Fletcherのピアノに1-hornのオブリガートの録音がありますが、ここではDon RedMan のCla/Altoが聴けます。やや時間をおいて1926年はClerence Williamsの伴奏になり、その後FletcherのピアノにJoe SmithというCornetのオブリガートが入って来ます。このJoe Smithの演奏はBluesしてて良いですね。

1926年は録音が多く14曲納められています。1927年の最初にJomes P.Jonsonのピアノによる録音が2曲その後Fletcherのバンドによる収録が続きます。Fletcherの楽団との録音で面白いのはColeman Howkins,Joe Smith,Charlie Dixon(bjo)など当時の人気プレイヤを率いて"After You've Gone"," Alexander's Ragtime Band"などのナンバーをやっているのですが、バランスが悪いのでしょうBessieが歌っている間バックが何やってるかよくわからんのです。(^^;)まあ当時の録音技術ではしょうがないかもしれないですが、Colemanのオブリガートが聴きたかったです。

Vol1,2,3通して言える事ですが Cla,Tp,Corのオブリガートは大変気持ち良い演奏が多いのですが、Sax系は録音が少ない上にあんまり冴えません。歌ってないのですよね。実はRedmanのAltoもフレーズ的にはBluesしてないのでつまらないのです。何ででしょう・・・

1927年4月の録音の後、半年以上病気の為にしばらく活動が停止していた様です。病気といっても結婚相手のJackとの問題が原因で精神的にまいってしまったという事らしいですが。1927年11月から活動を再開しています。

1928年からはまた2horn程度のスタイルで録音されていますが、この時期からバックがちょと冴えません。名前も聴いた事無い人が多いし。この頃からBessie..というかトラディショナルなBluesの人気が次第に落ちて来る時代になるわけです。


2005-12-12 音楽

Allen and Hawkins 1933 allenhawk

他のHenry Red Allen CDとダブっているのですが、1933年の2人が一緒に活動していた時の録音だけが納められています。

バンド名としてAllen & Howkins ではなく他のリーダー名で2人が入っている録音がありまして、リーダーは Red AllenのバンドのPianoのHorace Henderson...Fletcher Hendersonの弟で、こっちのバンドでは一時抜けていたHilton JeffersonがまたAltoで参加していたりします。

他にJeffereson抜きの"Henry Allen - Caleman Hawkins & thier Orchestra"がTrombonだけ違って"Coleman Hawkins & His Orchestra"の名前で録音していたりもします。どうも2バンド分のメンツで3つのバンドが録音していた様です。この年は。レコードのためだけのセッション、という感じも無いでもありませんね。やっぱ聞いていて気持ち良いのはColeman + Jeffersonのセッションですかね。アレンジがHorace Hendersonで、Fletcher譲り(Redman譲り?)のSaxの特性を生かした、ハーモニーが非常にきれいな演奏です。

写真のHawkinsの楽器はSMLだそうです。この楽器も吹いてみたいのですが、これまたレアで中々手に入らないのです。残念。

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HsvsRsvsesv [none]


2005-12-14 音楽

Lucille Bogan bogan

Lucille Hegaminを捜して、偶然見つけたのですが、やはりBessie SmithやMa Raineyと同時代1920年代のBluesシンガーです。が、ジャケットにある様にアブナい歌ばかり歌っていたシンガーです。(訳したら日本じゃ歌えません?・・・ *_*;)

1987年4月1日生まれ(ホントかぁ?)活動は1923年頃から1940年くらいまでで、このCDに納めらているのは1933-35年の録音です。リリース当時は本名でなく"Bessie Jackson"なんてイカにもウソぽい芸名でレコードを出していました。トラディショナルなBluesとしては珍しく活動期間が長いです。これはやはり歌の内容からでしょうか。

興味があったのは、どんな人がバッキングしているのだろうという事。Walter Rolandという良く知らないピアノが入ってます。あとはギターがちょこっとJosh Whiteとかいう人が入ってますが、この名前AllMusicでは3人いて何者だかわかりません。管は一切含まれません。やぱり内容から考えてBigNameは入ってないでしょうねぇ。歌はBoganの作詞・作曲で、自分の暮らしから作ったと言われています。Bogan自身当時の黒人としてBessiなどよりももっと貧しい暮しであった様です。1920-30年代における今でいう処の「Rapp層」ではなかったか、と思っています。

Boganは活動は長いのですが録音として残っているのは1935年が最後だそうです。他に1920年代のCDもオーダしているので、また後程。

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Krystal [Stay ifnroatmive, San Diego, yeah boy!]


2005-12-15 iPod

iPodバッテリー交換 ipod

バッテリがヘタって来たiPod (3rd Generation)のバッテリを交換しました。newer techの治具付きのバッテリですが、作業が結構面倒そうなので入手後しばらくほっておいたものです。人に「バッテリー交換してあげるからね」と約束してしまったし、予行練習も兼ねてトライしました。 何が大変かって、ケース開けるのが一番大変です。このiPodの場合付属ツールでは開けられませんでした。ケースのスキ間にプラ製のツールが全然入らない・・・・入らない上につぶれてしまって何だか使えなくなってしまったみたいで困った。(x_x) ネット検索して、一回トランプカードの様な物を差し込んでやるとよい、という 情報があったので、手持ちのメンバーカードやら組み合わせてやってみて、ようやく開けられました。ウラ蓋に対して鋭角に差し込まないといけないのですが、かなり精巧に作られているのでトランプの様な薄いものでも中々入り込めないのです。個体差があると思われます。手荒く使っているとスキ間ができやすくなったりするかもしれません。 まあ開けた後も簡単ではないのですが、端子はデリケートだし、コネクタは小さいし、特にHDDのフラットコネクタは見てビビりました。写真には出てませんが端子間0.5mmくらいなのです。 まあ無事交換できてちゃんと再起動できました。問題なさそう。これでしばらくバッテリ切れを気にしなくてよいか・・・
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もん吉 [私も3Gのバッテリー交換をしました・・ あの工具だけでは難しかったですね〜。交換が終わったころにはただの棒になってま..]

ためすけ [あら、やっぱり同じ方が。。。4Gだったら簡単なの?でしょうかね。道具は揃っているので、誰かで試してみます。 ]


2005-12-16 音楽

Clarence Williams 1930-1931 clarence

1930年3月から1931年10月までの録音を集めたCD。まだ不景気の頃でしょう。全体に活気がありません。1930年の最初の録音5曲はClarenceのPianoと歌です。地味ですね。その後バンド編成の録音もありますが、TpなしのTb入りとか、ドラム無しとか、変則的な編成が多いです。録音の度にバンド名が変わったりもしています。Albert Socarrasのfluteが入ったナンバもありますが、一曲の中でCla,Saxを持ち替えでやらされてますね。。。見るからに人員削減バンドという感じです。SocarrasのClaは残念ながら上手くありません。Fluteだけ入れてくれればいいのに・・・

2曲だけHenly Red Allenが入った録音がありました。スタイルが似ているからでしょうか、交流はあったのですね。また、メンバーの中に"Arville Harris"というAltoがいて、結構いい音していて、何処かで聞いた事ある名前だと思ったら、初期のCab Calloway楽団に参加していました。

レコーディングに参加しているMusicianの出入りから考えまして、1920年代後半、Big Bandの前身となる中編成の新スタイルのJazzとそれまで引き継がれた正統的なNew Orleans Jazzが入り交じっていたところに大恐慌が起こり、それ以降演奏の機会が減ったためにバンドは離合集散を繰り返し次第に中編成のBigBand形式に集約されて景気が良くなるにつれてフル編成のBigBandが形作られて行った、というのが大まかな流れなので様な気がします。まだ仮説ですけれど、、、追々調べて整理したいと思います。


2005-12-19 音楽

Duke Ellington 1924-1929 ellington

Duke Ellingtonの初期の録音です。サブタイトルにありますが、Bubber Miley(1903-1932)という伝説の(?)トランペットをメンバーにしていた時期の録音を集めてあります。

Bubber MileyはPlunger MuteをつかったWOWWOW奏法の創始者(?)で、Ellingtonはこの奏法を生かしたアレンジメントで人気を博したのでした。1924年はまだバンド名が最初に作ったWashingtoniansの名前で活動していた時期です。編成も1Tp,1Tb,1Reed+リズムのSextetバンドです。以降この編成へ少しずつ人が加わる形で編成が大きくなって行きます。1927年にコットンクラブへ登場する少し前に"Duke Ellington Orchestra"となります。1929年の段階では3Tp,2Tb,3Reed+4Rythmの12ピースです。

Ellington自身はラグタイムピアニストでJames P.Johnsonのピアノロールを真似てラグタイム/ストライド奏法をマスターしたと伝えられています。聴いて興味深いと思ったのは、1924年の録音の頃からすでに「Ellingtonしてます」つまりハーモニーの作りが全く独特なのです。Ellingtonは裕福な家の生まれで、また音楽家の家系ではない関連からか、最初から伝統(?)を無視して独自の音楽スタイルを持っていたものと考えられます。(やはり天才だと思う)

初期のTop Alto はOtto HardwickeというEllingtonと同じWashingtonDC出身のプレイヤです。1928年にJony Hodgesが代わります。CDには最初の1924年11月の録音の後、26年まで録音がありませんで、CDのライナーによれば「つまらない」のだそうです。1925年1月から1926年6月までの録音が他のCDにはあったと思ったのでまた捜しましょう。

Mileyは酒飲みでいい加減な男だったそうで、レコーディングや本番をスッポかしたりしたそうです。それでもEllingtonはMileyを買っていた様ですがMileyのこの奏法が無かったらEllingtonの人気や知名度はどうだったか? 興味深い処ではありますが、まあ才能ある人ですからまた別なアイデアで録音していたでしょうね。


2005-12-20 音楽

Bunk Johnson bunk

はっきり言ってキビシいCDです。何がというと出来不出来が激しい演奏なのです。良い演奏はとても良いのですが、下手な演奏は「うへっ」というのが混じっています。

King Oliver/Freddie Kepperd以前のBuddy Boldenの時代から活動をしていた生粋のプレイヤですが、一時引退していて、1940年代のNew Orleansリバイバルの時に発掘されて再度登場した時の録音です。クラリネットにはOld Jazzでは有名なGeoroge Lewisが参加しています。一部Sidney Bechetも入ってます。

New Orleansではどんな音楽が演奏されていたのか?確かめるのには丁度良いと思われます。

演奏ですが、先ずリズムですが、やはり4beatの2,4拍の強調の弱い、平たいビートが多いです。RagTime的なビートも無い事ないですが、録音としては少ないです。肝心のBunk Johnsonは頑張って吹いていますが、いかんせんお年もあるでしょう。音出し損なったり音程悪かったりする時が(結構)あります。静かに吹いている分には良いけれどヒートアップして来ると外したり・・・Georoge Lewisも単調なフレーズの時とコンテンポラリな時とフレーズが様々です。はっきり言える事は「結構コード進行している」という点があげられますね。ディキシーランド系Jazzは元々がマーチングバンドだからコード進行など単純でなきゃならん、という見解がそのスジでは一般的でスリーコードばっかりで演奏される事が多い(そうだ。関係者談)のですが、実際このCDを聴くとII-V7もあるし部分転調もあるし、そんな単調なものばかりでは無い事は明らかです。全体に玉石混合という感はありますが、Old Jazzのスタイルとしては示唆に富んだCDです。

この時期のJohnsonの録音は大変有名で伝説的でもありこれまでに幾度かレコード/CDでリリースされています。1940年代なので音は良いですので中にはNew Orleans Jazzのお手本として見る向きもあります。特にノリについては「これがホンモノのJazzだ」と思われる向きもありますが、1920年代のKing Oliverらの録音と比べるとやはりキレの悪さはありまして、(録音は悪いけれどそれくらいの区別は付きますよね)まあそれなりに聴いておくべきかと思います。


2005-12-23 音楽

Lucille Bogan & Walter Roland bogan

ちょと失敗。Classic Bluesのessentialシリーズ。ベスト盤、みたいなものですが、欠点はライナーノーツに録音の日付等一切記載が無い事。解説は入ってますが概要だけでレコーディングに関する詳細は記述されていませんでした。essentialシリーズはみんなこれなんですよね・・・ まあ、分かる範囲ではBoganの 1933-1935年シリーズ と録音時期は同じ様です。タイトルにあるようにBoganだけでなくPianoのRolandのソロや歌、ギターなどの録音も一緒に入っています。1920年代の録音が入っているかと思ったら無いみたいでした。残念。 とりあえず検索リンク→ Lucille Bogan

2005-12-24 音楽

昔話 画像の説明

そいういえばクリスマスだっけ。クリスマスネタは無いかなと捜したけど・・・何も無い(^^;)昨年はレストランで営業していましたけど今年は何もありません。 これは古いCDを整理していたら出て来た。1999年のクリスマスアルバム。M.I.D Mixs International DJ という企画モノです。和製ラップが今程メジャーじゃない時代ですかねぇ。DJ,Rapper仲間がいろいろ混じって作ったCDです。知合いのDJ,Rapperが混じっていたの、一曲Fluteで吹込に参加しています。病気療養料後、ブランク長いの後なのであんまり調子も良くなかったけど。

全くもって、笑い話なのですが、録音の際ベーシックトラックを聴きながら何テイクかソロを入れたのだけど、最終的にDJが録音済みのトラックをさらに分解して再構築していった(らしい)経過で、1フレーズ2小節だけが残って、そのフレーズが延々と繰り返し使われるというトラックになりました。他にギターやピアノも参加しているのですが、最終的に残ったフレーズが2小節しかなくてもそれでもギャラは同じ。いいんだか悪いんだか・・・(^^;)


2005-12-25 音楽

Cuba cuba

今年のクリスマスは営業が無いので、家でおとなしくしています。読書の冬だね。という事で、寒い季節にホットな国キューバ音楽のお勉強。

編纂が2000年ですからちょと古いと言えば言えない事はないけれど、ためになりました。

キューバ周辺の中米諸国はスペイン/フランスの植民地であったけれど大変早い時期に独立して国家としても文化的にも自立していったという経緯が語られてます。なるほど。アメリカの様な差別が強固には残らなかったのでヨーロッパとの関係も強く、例えて言うと、アメリカのクレオールが自立して国を作ったという感じなのかと考えられます。

キューバ音楽の成り立ちが解説されていますが、もっと詳細が分かると良いなとも思いました。特にチャランガが作られる過程などもっと詳しく知りたかったですが。この本を読んでチャランガで古楽器が使われ続けたという理由として推測されたのは、早くに独立したために楽器そのままの形が残ったのが理由でないかと考えられました。中米自体それはそれは豊かな国々です。そして技術もありました。そういった中でキューバ国内で当時から楽器の製造が行われていてそれがそのまま継続していたのではないかと、考えれば辻褄があいそうです。

禁酒法時代のアメリカ/中米諸国との間の文化的、経済的交流も盛んであったそうです。Musicianも行き来していたそうです。

距離的にも近いですし、初期のNew Orleansでは使われなかったFlautaがキューバ出身のプレイヤーを通してアメリカに逆輸入されたのではないかと考えていましたが、確かにその通りだった様です。これでナゾが一つ解けた。

また、1990年代後半くらいからCuba系の音楽が盛んになって来た「様に見える」のは実はアメリカが単に政治的な理由でキューバを意図的に無視し続けていた為に情報が入って来なかっただけで、実際にはキューバの教育水準は大変高く優れた音楽家も大勢おりまして、そういった人々はアメリカを飛び越して直接フランスやスペイン、イギリスと交流して、ヨーロッパを経由して世界に広がって行った事。それにアメリカが追随するのが遅かっただけであった、のでした。道理で知らなかったはずだ。

おすすめー>キューバ音楽


2005-12-26 音楽

Wilbur Sweatman Original Jazz Band wilbur

以前紹介の本録音の歴史の中にも出て来ます。1882年生まれ。元はラグタイムバンド(マーチングバンドみたいなもの)のクラリネット奏者でラグタイムからJazzに移り変わろうという時代の「生証人」だそうです。ミズーリ州生まれで最初にKansas City(!)でプロ活動を始めて、ラグタイムバンドであちこちで旅を続けていて、クラリネットの名人で有名だったそうです。旅をしている最中1903年に「"Yellow Dog Blues"を聴いた」とか本人が話しをしていたとか、同じく1903年Scott Joplineの"Maple Leaf Rag"を鑞管レコードで吹込んだとか、なかなか面白い人です。

このCDに納めされているのは1918年から1920年にかけてNew Yorkの録音です。時代ではOriginal Dixieland Jass Bandのちょと後になりますが、このバンドはSweatmanが独自に始めたもので、ODJBはこのバンドの形式を真似をしたのだ、という1915年付けの新聞記事が残っているそうです。

編成はCla,Tp,Tb,プラスリズムという標準的編成でそれにSaxが入ったりVlnが入ったりします。音楽を聴いてみると、確かにNew Oraleans風なのですが、マーチング/ラグタイムバンド的で、本当にインプロヴィゼーションしているのはクラリネットだけです。他にはトロンボーンのスライドがやや即興的かと思われる程度でトランペット/コルネットはメロディのリードをしているだけと言って良いかと思います。ラグタイムバンドからJazzにかけての過渡期の音楽といえそうです。

2−3年くらいのスパンでアメリカ各地を旅をしていた様で他にもFats Wallerと組んでいたとかEllingtonもSewatmanのバンドで一時期仕事をしていたとか、Mamie SmithのバンドにいたColeman HawkinsがFletcher Hendersonの楽団に入る前の暫くの間(確かにレコーディングが無い)一緒に活動していたとか、Jazzの歴史上重要な人物で1950年代まで活動をしたけれどあまり録音が残っていないなどナゾな人でもあります。


2005-12-27 音楽

Eddie Condon Vol.1 condon

Eddie CondonのBOX、長いのでとりあえずVol.1だけ。

何でこのBox買ったかというと録音史上はじめてバスドラムの音が入ってるのだそうで、興味があったのでした。1927年に録音されたCondonのバンドでGene Krupaの叩いた"Sugar","China Boy","Nobody's Sweetheart","Liza"がその最初の録音だと油井正一の本には書いてありました。聴いてみたのですが、よく分かりません。(^^;) 確かに、古い録音でよく聴くウッドブロックの変なリズムは入ってないですが・・・

それとこの時期の録音はシカゴ・ジャズの走りと天才Gene Krupaのデビュー録音、名プロデューサー(ただのマネージャだろ、って話もあるが)Eddie Condon、Red McKenzieの逸話などで有名なのですね。

Vol.1は1927年12月から1930年1月までの録音が入っていますが、Condonの顔の広さ(とスポンサMcKenzieの経済力?)でか、本当に多彩なメンバーが参加しています。Glenn Miller,Pee Wee Russle,Benny Goodman,Jimmy Dorsey ,Arville Harris,Otto Hardwick,Coleman Hawkins, Fats Waller,Henry Allen etc. 1930年の録音でHawkinsとGoodman,Miller,Jimmy Dorseyが一緒に吹込んでいるのにはびくりしました。大恐慌直後で景気が悪い頃でしょうが、むしろ「何でもアリ!!」みたいな雰囲気で面白いです。

McKenzieがVocalと変なComb Kazoo (櫛にパラフィン紙を巻いてブーブー吹いて鳴らすやつ。殆ど子供の遊び)で入ってます。VocalはまあいいとしてComb Kazooはイダダケない・・・(^^;) 他のプレイヤの演奏はすんごく良いのですが。


2005-12-28 音楽

バークリーメソッドbarklee

爺ZさんのBlogでも紹介されてました。ので借りて読んだ。(^^;)バークリーで教えているところの音楽理論をかいつまんで説明してるものです。著者、というかこれは講義の内容をそのまま文書にしたものなので講演者はバークリーメソッドを理解していますが信仰者ではないので限界も問題点も踏まえて解説しているのでヨイです。「バークリーメソッドはそれ程難しいものではない。だから普及した」というのが真実なのでしょう。根本は「音韻操作」にある、とな。簡便なものから高度/複雑なものまでガイドラインを示しているのですが、これをやりすぎるとブレッカーの音楽の様なわけのわからん音楽が出来ると。それを「バークリー症候群」というのだそうだ。メソッド、理論は道具なわけで、道具の使い方を覚えるだけでそれなりに面白い事やスゴイ事ができるわけですが、それだけ追求するとスゴイだけで誰も幸せにならないという事ですね。スゴイ事を追求するだけがスゴイ事だという考えは悪い意味の20世紀的発想なんですがそれに気が付かないのでJAZZは行き詰まっているのだと解釈しましょう。

爺ZさんのBlogの方が詳しく書いてあるのでそちらを読んで貰うとして、筆者に対するツッコミとして、平均率の始まりをバッハの平均率クラヴィア曲集と言ってますが、これはおかしいです。ただ、その事は分かった上で方便として語っている様でもありますが。

バークレーメソッドに対するツッコミとしては、メソッドの根本にある和音進行の根拠であるディソナンスレベルが純正調の音律を基本に語られています。これと「純粋」平均率のインターバールが「近似的に同値」というあたりがおかしいです。どちらもこの本で説明されてます。音楽的には純粋平均率は近似解ではないというのが真実なんですけどね。

またBluesについての記述もありますが、バークレーメソッドもそれに対抗?するリディアンクロマティック理論もBluesを解釈/理論化できていないと言ってます。やっぱりそうか。Bluesは相変わらず「揺さぶり続けている」という事ですね。


2005-12-29 音楽

Benny Carter BOX Vol.1 carter

これもBoxで曲が多いので一枚目から。Pre-Swingからモダンまで生きた人です。

Cab Callowayとは違って、生涯スタイルを変え続けて生きて行った人です。1907年New York生まれ、最初はDuke Elington楽団のBubber Mileyの影響でTrumpetをやったそうで、その後にTrombone,Cla,Saxと結構何でもやる人です。生まれがNew Yorkだけに音楽的には恵まれていた様で10代からステージに立って仕事したそうです。

Vol1の録音は1930年〜1936年、大不況の真っ中から景気が持ち直すあたりの時期です。それまでCarterはFletcher Hendersonのバンドに参加したり自己のバンドを率いたりいろいろ活動していました。1930年12月の5曲の録音は"Chocolate Dandies"というレコード作成のための3管ユニットでテナーがColeman Hawkins。音楽の感じはHenry Red Allenのバンドに似てます。その後飛んで1933年の録音になりこの時点でCaterのバンドになってリーダーBenny Carterに 2Reed,2Tp, 2Tbプラスリズム。このテナーはChu Berry。

他にChu Berryを入れた"Chocolate Dandies"と、一曲だけ"Spike Hughes and his Negro Orchestra"というHenry 'Red' AllenにColemanとChu Beryが一緒に入っているユニットがあるのですが、何故かメンバー表にないFluteが入ってます。CarterのバンドリストにあるWayman Carverの様ですが、これはライナーの書き間違えですね。この人はJazz Fluteの歴史で2番目に出て来たソリストではないかなと思います。Chick Webbにも参加しているので要チェックです。

全体の感じとしてはSwingしてよいですね。アレンジはCarter自身の様です。Don Redman的ですが、Saxセクションよりブラスのフレーズを全面に出す感じが強い。それとSaxセクションの音にSweetnessよりブラスに対向できる張りのある音を求めている様です。Carterの楽器もずっとCONNを使っています。まあ演奏する場によるのではないかと思います。


2005-12-31 音楽

Guy Lombardo And His Orchestra lombard

eBayに出品されていた古いBuescherの広告の中にここのバンドのSaxセクションがBuescherを使っていました、という内容の物があったので探して来ました。

Guy Lombardo カナダ生まれ、Violin、1927年ころからラジオ番組で有名になった人だそうです。カナダで活動を始めてアメリカで人気を得て1977年まで活動していました。オーケストラ名が"Canadians"なのはそのため。

このCDの録音は一枚が1935年から1950年にかけてのヒットベスト版、もう一枚が1950年代のラジオ放送用の録音だそうです。音楽はアメリカの伝統的な白人のPop&Dance Musicです。Sweet Musicというカテゴリになります。ムードミュージックの走りですね。確かにJazzのエッセンスもありますが。黒っぽさはありません。活動はFrankie TrumbauerのいたPaul Whiteman等と重なっていますがもっとクラシック寄りです。編成は3-4reeds ,3pet ,3tboneにリズム、なぜかピアノ2台。Saxセクションの音はハーモニーが揃っていて大変きれいです。

さて、ここからがお話です。

イギリス民謡"Auld Lang Syne"("蛍の光"ですな)が年末12月31日夜12時にアメリカ各地で演奏されます。

この伝統の始まりは、1929年(大恐慌の年)で、この年ニューヨークのRoosevelt Hotel でGuy Lombardo and Canadiansがディナーパーティーを行った際、深夜12時、年が変わるのと同時にこの曲を演奏をしたのが最初でした。(ラジオで放送されたという話もある)

この演奏がとても良かったと評判になり、以降、他のホテル/イベント/ラジオがまねて、アメリカ各地で12月31日の夜12時、年が変わる時刻にこの"Auld Lang Syne"を演奏する習わしになったそうです。

この季節日本でもAuld Lang Syneを演奏する機会もあるかと思います。伝統に従えばこの時に使う楽器はBuescherでないといけません。Selmerでは邪道ですね。というわけでみなさま良いお年を。


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