Old Jazzを聴いていてJelly Roll Mortonを取り上げないのはいかんのですが、借りて聴いた事があるくらいでCDを手にしていなかったので今回入手。
1890年生まれNew Orlenas出身のピアニスト/アレンジャ、実際にストーリーヴィルで演奏していた事のある New Orleansの生証人。Jazz Pianistの始祖、"Originator of Jazz" クレオール出身で孤高な人でもありました。本名は"Ferdinand Joseph Lamothe"です。
この録音は1924年くらいからの Piano Solo の後に続きます。シカゴで編成した自己の楽団"Red Hot Peppers"の録音。
メンバーはやや入れ替わりありますが、TromboneのKid OryやClarinet Johnny Dodds,Barney Bigardなど当時のLouis ArmstrongやKing Oliverのバンドとダブっているのです。http://www.redhotjazz.com/ の記事やCDのライナーによれば、どうもこの楽団はレコーディングセッションバンド、だったらしいです。タイトルに"Birth Of the Hot"とあります。バンド名といい、"redhotjazz"のサイト名にもなっていますが、本当に当時のNew Orleans系Jazzの手本というべきセッションであったと言えます。この音楽は当時のChicagoのミュージシャンはみんな聴いているしEddie Condonや若いGene Krupaもリアルタイムに聴いていた音楽でもあります。
同時代のKing OliverやFreddie Keppard 等は人気者でしたしオヤブンでもありましたがプレイヤであっても総合的に「音楽家」と言えるかというと難があります。が、Mortonの場合は元々そういう仕事をしていたし、プロデューサーでありプレイヤでもあり、先生でアレンジャ/コンポーザーとして立派に「クレオールの音楽家」と呼んでよいかと思います。おそらく本人もこの点は意識していたのではないかと思いますが、それがかえって本人にとって難となって行くのですがそれはまた後程。
それでCDの音楽ですが、編成はBanjoまたはGuiterを入れた4リズムにCornet,Trombone,Clarinet,の三管を基本にして、オプションでVocalやViolin,Alto Saxなどが入ります。NewOrleansスタイルですが、しっかりとアレンジされると同時にCollective Improvisationの対比も含めて、綿密に構築された良く出来たJazzです。雰囲気はKing Oliver等とくらべて垢抜けていて洒脱という感じです。Violinが入ったり、中にはサイレンの音など効果音をいれたナンバー(Sidewalk Blues)などもあります。何というか正統派New Orleans Jazz の完成形?と言ってよいかもしれません。Mortonの生い立ちからいっても、本人もそう主張する気がします。
このBluebirdレーベルのCDはライナーによれば、原盤(metal parts)からプレスをして、そこから録音し直してデジタル処理をした、とあります。このため音は非常に良くノイズも少なく聴きやすいです。検索リンク→Birth Of the Hot
文責:ためすけ後藤
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