「巨匠神話」レブレヒトの著作。巨匠神話の姉妹編の様な著作です。書かれたのは1996年なのでまあ結構前ですが。
内容は巨匠神話で書かれた事柄ももっとくわしく具体的に追跡して、クラシック音楽、クラシック音楽界が衰退していく様を個人名をあげて記載しております。誰が悪いか名指してあったりして。あまりにも個人の行動が詳しく書かれているので「本当か?」と思ってしまいます。でも本当ぽいです。
端的に言うと、強欲かつ偉大なアーティストと強欲なエージェントが肥え過ぎたために法外な出演料の格差がクラシック界を滅ぼしたという事になります。当たり前の話で、音楽の聴衆の数がそれほど増えてないのにトップアーティストの報酬が10倍-100倍になったらその世界は崩壊するだろう。その過程を細かに綴ったのがこの著作です。アメリカで出版された時のタイトルは「誰が音楽を殺したか」だったそうで、タイトルとしてはキツいですが確かに、実際の内容は「誰が殺したか」に要約されています。
現在の処クラシックは、音楽のスポーツ化によって生き延びている様です。スポーツ化とは「AとBどっちが強い」のタイトルを比べて売り込んでメディアやスポンサーを付けてコマーシャルをしてスタジアムでコンサートを開くという方法。
まあこれも実は無理があるわけでスポーツなら勝敗と記録が誰の目にも明きからになりますが音楽の演奏となると評価の基準もはっきりしている訳でなく、結果コンクールタイトルとステータスと「どれだけミスの無いパフォーマンスか」くらいしか区別するネタが無くなり、個性も表現もない面白くない演奏ばかりになったと嘆いています。またこんなイベントは年中出来るわけでもなく、普通のシンフォニーや総合的なオペラなどはかえって演奏機会がなくなってしまったという次第。
これを読んで感じるのはJazz(特にModern系)もなまじアートしている点から、同じように一時の盛況から廃れて行った過程が見える事。非常に似た状況かと思います。ノーマン・レブレヒト
文責:ためすけ後藤
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